幼稚園で学べるもの
先日、ある新聞で気になる記事を見つけました。
「幼稚園通い増で非行減」「社会のルール身に付く」といった見出しでした。
ある東大の教授が、4歳児の通園率と非行との関係を分析したそうです。その結果、幼稚園への通園が増えたことで、暴行や強盗、恐喝などの暴力犯罪の摘発が全国で約34%減少したそうです。
その教授によると、知能指数など数値で表れる「認知能力」ではなく、「暴力を振るわない」「順番を守る」といった、社会で基本となる「非認知能力」を幼稚園で身に付けた効果であるとしています。
仁神堂幼稚園でも、非認知能力の育成に力を入れています。本園では、広い園庭やわんぱくの森などでの遊びを通して、「健康・体力」「人間関係力」「自己有用感」の育成を経営の柱としています。このうち、「人間関係力」と「自己有用感」は、非認知能力を構成する重要な資質であると思っています。
今日も園庭で様々な子どもたち同士、そして子どもたちと保育教諭たちの関わりを見ることができました。
ボールを蹴ったら、友だちにあたってしまいました。
「ごめんね。」保育教諭がすかさず、「すぐに自然と、ごめんねがでてくるのは、とても素晴らしいことだよ。」
小さなカマキリを見つけてきた子がいました。職員が「どこで見つけたの?すごいね。」
そのうち、たくさんの子どもたちが集まってきました。「ぼくにも見せて!」「私にも!」
虫かごの取り合いが始まりそうです。すると年長組の子が、「順番だよ!」「虫がかわいそうだよ!」
除草をしている職員に、ある子が声をかけます。「先生、この道具、こんなに草がいっぺんに取れるんだね。すごいね。」すかさず職員が声を返します。「そういうところに気がつく○○さんは、もっとすごいね。」
今朝はわずか30分程度しか外で遊べませんでした。しかし、わずかな時間でもこういったやりとりが幼稚園では行われています。
分析にあたった教授は、こういうことも言っています。
「今後も教育の質を保つ努力が必要である。」
子どもたちが幼稚園に来ただけでは、非認知能力を高めていくことは難しいと思います。大切なのは、
・子どもたち同士の関わりの場を、どう意図的に設定するか。
・職員が意図的な励ましや賞賛、助言をどう意図的に行うか。
であると思います。
私たちは大切なお子様をお預かりしています。一人一人がどうしたら健やかに成長していけるか、そのために幼稚園として、職員として何をしなければならないのか、しっかりと考えていきたいと思います。